「Alice」

Alice (電撃文庫)

Alice (電撃文庫)

一部に熱狂的なファン(例えば私)を持つカルト作家川崎康宏氏の新作。
前作「モノクロス」が良質なものの“ただの”ノワールアクションと化しており、ファンとしては不満を残す結果となったのですが、さて、今作では――


大爆笑


これこそ私が待ち望んでいた川崎康宏作品。一般的にはB級アクション映画的作品と言われるのでしょうが、これはそんな上等なものではありません。正確に言えば、この作品は正統派のボンクラアクション映画的作品です。例えれば「キル・ビル」であり「フロム・ダスク・ティル・ドーン」であり「レジェンド・オブ・メキシコ」。間違っても「ダイハード」や「ターミネーター」といった大衆的B級モノではありません。ん、なんと素晴らしいことですか。
読中、よくぞまあここまでクセのあるキャラ*1ばかりを登場させ、あの手この手のボンクラアクションをやらかせたものだと感心する事しきり。
ストーリーは非常にシンプルで(シニカルなものの)解り易く、“物語を楽しむ為の読み物”としては物足りないものを感じるかもしれませんが、この作品は“(バカバカしい)アクションを見(魅)せる事を目的に書かれている”ので、この位で丁度良いでしょう。
兎も角、個人的には満足のいく作品でした。


非現実的なアホらしさをこよなく愛する方は是非ご一読を。

*1:「ミュータント」やら「強化人間」やら「熊侍」やら「アンドロイド」やら以下略