「CARNIVAL」

http://park19.wakwak.com/~genocide/carnival.html
絢爛武(舞)闘。
物語のクライマックス、真っ先に思い浮かんだのがこの言葉でした。
少女達が己の身に神を宿し、異能を駆り、勝利と誇り、何より約束の為に舞い闘い愛う。
極限の魂の激突。その様は極美の華。


――と、初端からイタイ文章を書いてしまいましたが、詰る所、個人的にはかなり面白い作品であったという事です。むしろ好きすぎるくらいに。
テキストに若干読み難い部分がある事や、CG、サウンドモードが無い点など細かい荒が目立ちますが、たった三人のスタッフ(しかも全員ゲーム制作経験ゼロ)で約一ヶ月で創り上げたモノとしては驚異的なクオリティの作品ではないでしょうか。


 極力客観的評価をいえば、昨今の同人ゲームに見られる良質ながらも萌えや泣きなどの“ウケる”路線――歯に衣着せぬ言い方をすれば、商業作品の模倣的創作物とは一線を隔すオリジナル同人ノベルの良作。

公式BBSにてスタッフ自身が「受け入れられるかどうかはぎりぎりのライン」と評しているとうり、年端もいかぬ少女達が互いを傷つけ合い闘争し愛うシナリオは、万人に受けるとは言い難い物語だと思います。ですが、個人的には作品を通して伝わるスタッフの「受けるかどうか解らないけど面白いものを創ろう」という想いに、かつて「同級生」や「To Heart」のヒットにより安易な純愛系学園物作品の氾濫していたエロゲ業界に新参ブランドでありながら正統派ハードボイルド「Phantom of Inferno」を送り出したNitro+と同じ精神を感じました。



もともと上田夢人氏が私的お気に入りの絵師だという理由だけで購入した作品でしたが、プレイ中の二時間、選択肢無しの完全ノベルである事を忘れるくらい楽しませていただきました。Nitro+作品を気に入っている方やキャットファイトスキーな方、伝奇活劇好きな方は映画を一本鑑賞する気持ちでプレイされてみては如何でしょうか。

 
 どーでもいー事ですが、シナリオを担当した竹田氏*1は多分夢枕獏氏のファン、少なくとも「餓狼伝」読者なのは確実だと思います。
伝奇格闘モノとはいえ、ヒロイン達に流血上等骨も砕けよ(実際砕いてる)と言わんばかりのえげつないヴァイオレンスバトルを繰り広げさせるのはただの伝奇物系ライターには無理。(でも、それでいてどこまでも美しく真摯で爽やかなシナリオなのは素晴らしいの一言)
あ、BGMもなかなかに良かったです。特に戦闘シーンの重低音は個人的にツボ。


■追記 
PC環境によってはスクリプトエラーで起動できない場合があるので、その時はオフィシャルBBSの対策を参考にされると良いと思います。
ええ、当方、ドンピシャリにエラーが起こりましたよ?

*1:プレイ後、竹田氏のサイトを速攻でブックマークに入れました