花咲くオトメのための嬉遊曲(LOVER-SOUL)

http://d.loversoul.jp/
既存のスポーツ物にある泥臭さや爽やかさとは異なるスタンスで描かれた文学風味の“野球少女”モノ。


LOVER-SOUL作品に触れるのは「CAROL」以来。なにやら野球をする女の子を題材にした作品らしいという事で、テンション合わせに野球少年少女小説の秀作「若草野球部狂想曲」*1を再読しようとしてそのまま寝落ちしたという(気持ちだけは)万全の体制で臨んだ今作品。事前情報を殆ど仕入れずジャンル的になんとなく「スポ根系かな?」などと思い込んでいた当方としてはちょっとカウンター気味の作風でした。


登場人物は魅力的ですし、何気ない会話のやり取りや野球の試合運びもなかなかに上手いのですが、惜しむらくはストーリーに盛り上がるべき山場がない事。文学的テキストの雰囲気にはあっている話しの流れ方だとは思うのですが、スポーツ物エンターテイメントとしては些か傍観的にシナリオを運び過ぎという印象を受けました。
やはり単純に登場人物達に野球をやらせるだけでなく、物語を盛り上げる“障害役”や“競争相手”などの仕掛けの一つくらいは用意してもよかったのではないでしょうか。
折角、白鳳女子野球部や冨和女子野球部など魅力的なサブキャラクター(チーム)が登場しているのに“対戦相手のひとつ”としてしかシナリオに絡んでこないのは実に勿体無い。


テーマを絞り現実的な話しに近づける為、もしくは作風を重視してあえてフィクション的なお約束や因縁付けを避けたのかもしれませんが、スポーツ物の最大の魅力は「熱いドラマ」にあるという考えを持つ人間としては、エンターテイメントとしてある程度のお膳立てくらいは欲しかったと思います。


ともあれ、野球を知らない人に対してのフォローが無い為、万人向けとは言い難いものの個人的には十分に楽しめた作品。
野球や野球少女が好きな方や、原画家のファンという方はプレイされてみても良いのではないでしょうか。




■おまけ。雑感メモからテキトーに抜粋。
・伏線であろうけど明らかに作品に求められているモノとは別種のテキストが。
・乃雪との会話はまんま高校の文芸創作クラブの編集誌を読んでいる気が。とはいえ、なかなかどうしていままでヱロゲでなかったタイプのヒロイン。
アイキャッチで入る「成林ファイト!」という掛け声はいいなぁ。スポーツ物の雰囲気あって。
・でも何故か私脳内では「ウルトラファイト」と被ってくるのですがそのあいだには「全裸ファイト」が。
・主人公メチャクチャ捌けた性格だな
正常に変態だな、この主人公。
・つーか全員変人ばっかだ。
・瓜生朝霧は体育会系の人間にとって実に理想的な後輩。鍛え甲斐ありそうだなぁ。
・とりしも氏寄稿イラストのハイスクール奇面組ネタに爆笑。
・かっとばせー。せーいりん。ピッチャーぶッ殺せー。おー。
・もっと、こう、ベストアングルというものがあるだろうっ。(ちとせの胸を凝視しながら)
・春日川瀬の様に職人気質な選手は好み。あと葛城高嶺とかも。
・ふぁみこんうぉーずがでーたぞっ!
・文系少女が書庫を離れ白球に魅入られた理由。
グラフィッカーさんは頑張れ。もうちょっと頑張れ。
・無駄なくらいマニア的ヱロスを入れるくらいなら彼女達がグラウンドで白球を追い駆けるシーンを増やして欲しいと思う私は変でしょうか。
・ジャンルは別にして商業ラインではお目にかかれないであろう作風。このあたりも同人作品の面白さ。
・人気投票が開催されたら氷室乃雪と一年エースコンビに票が集中しそう。