『機動戦士ガンダムMSイグルー 一年戦争秘録』&『(同タイトル) 黙示録0079』

  「いまのデータを解析すれば、射撃プログラムを修正することができます」
  「で、今日射撃する分はどうするんだよ?」
  「少佐の経験で修正してください」

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評価  :B+
満足度:B++
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 ガンダムワールドで、真面目にトンデモ兵器列伝をやろうと思いついた時点で、この小説は既に勝利を収めていた。
 「ドーラ」を髣髴とさせる巨大な大砲や、「マウス」の如き高い火力と防御力を誇る超重量戦車など、日陰者兵器を語るのならば外せない様な設計思想の“幻の兵器”が目白押し。また、そんな実戦に耐えうるとは言い難い歪な兵器を駆り、戦場へと向かっていった“テスト”パイロットたちと、それを見送る技術者との血の通わぬ冷たい鋼を通して語られる熱い人間ドラマの数々。それらが積み重なり合い結実する最終話は、感動の終戦(フィナーレ)と呼ばれるに相応しいものでした。
 

 ガンダム物で目頭が熱くなったのは『ポケットの中の戦争』以来です。いや、良い物を読ませて頂きました。
 CGアニメのノベライズらしいけど、そっちの方も機会があれば観賞したいところ。
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 著者の林譲治さんってSF作家としての名前は知ってたけど架空戦記物も数多く手がけている方だったのか。どうりで骨太(というよりカルト)な戦争小説に仕上がってる筈ですわ。
 「不遇軍人救済家」っていう呼称はこの小説にも当てはまりますなあ。
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