『クトゥルー神話事典 第三版』

 第二版より項目数は増えてるのですが、「小説」以外のジャンルはほぼ軒並みカットされているのが残念。
 紙幅の制限も考えれば系統を絞って編纂しなければとても纏まるものではなくなったのでしょうが、せめて国内でクトゥルフの普及に多大な貢献を果たしたTRPG関係者についてだけでも、なんとかならなかったのでしょうか(文字情報紙面媒体なのに!)。ケイオシアム社も名前をちょろっと出したくらいですし。まあ、最近はガイドブックの数も増えてきているので、「改めて載せる事も無い」と判断されたのかもしれませんが……。


 ちなみに小説オンリーの事典に絞られている弊害で分かり易い例は『デモンベイン』。
 「作家名艦」に古橋秀之さんや涼風涼さんが登録されているのにも関わらず、原作者である鋼屋ジンさんの名前は無いというデモべファンを唖然とさせる仕様。『デモンベイン』自体は「クトゥルー神話の歴史」の項目で触れられてはいるのですけども、ね。


 事典としての質は全体的に上がっているのですが、ガイドブックとしては中級者以上、ありていにいえばマニアもしくは原理主義者向けになっているというのが、正直な印象。


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■参考

クトゥルー神話事典 (学研M文庫)

クトゥルー神話事典 (学研M文庫)

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・ビギナーには『クトゥルフ神話ガイドブック』もしくは『図解クトゥルフ神話』の方をオススメします。
クトゥルフ神話ガイドブック―20世紀の恐怖神話図解 クトゥルフ神話 (F‐Files No.002)