「アルティメット・ファクター 軌道上のキリングゾーン」


リボーが慌てて引っ込んだ直後、三方向から交差した七.六二ミリ・ライフル弾の大群が、見る間に床を削り、ずたずたにささくれさせた。
「対応が速ぇな。エラく正確な十字射撃だ」
「嫌がってる証拠よ!早く撃ち返して!」
「お前、この状況でおれに顔を出せと!?」


(本文P.27より)


私がこの作品を愛せると確信した遣り取り。
そんな状況で顔を出したら撃ち返す前に破裂した西瓜みたくされますな。
まあ、男の役回りなんてそういうもの。



武装集団にジャックされ殺戮空間と化した超巨大列車に偶然乗り合わせていたエージェント達の活躍を描いたノンストップアクション。
野暮ったい言い方をすればハリウッド映画の良いとこ取り。多分、角スニ文庫排莢率ナンバー1。


つまり、非常に私好みな作品。


舞台は、全長数千メートルにも及ぶ超巨大列車。
敵は、遺伝子操作により誕生した最強の兵士群《U.L.T.I.M.A.T.E.》。
登場するアイテムは、二挺拳銃やらアサルトライフルやら高周波振動刃やらグレネードやらマグナムやらGPMGやらライト・セイバー、否、フォトンウィーバーやらワイヤーガンやら人工知能搭載大型バイクやら戦闘型マティックノイドやらその他沢山、銃撃剣戟バトルに必要なもの全て揃い踏み。素晴らしい。


あと接近戦最強な<術>の存在も外せない。抜き手も見せない抜刀術。弾丸すら避ける体捌き。相手の動きを全て流しきる化勁。ブラボー!


突出した部分こそないものの文章は読み易く、粗筋やイラストから受けるイメージを覆さない素直な面白さとスピード感溢れる展開は見事。(ただスピード感を重視するあまり、描写が一、二行足りなくなっている箇所も見受けられましたが。まあ許容範囲内)
アクション全般に対する思い入れが在れば在るほど面白さが増すタイプですね。
逆に言えば、“その部分”を楽しめるかどうかが全て。


キャラクターは脇役(保安官カッコイイ!)を含めて魅力的ですし、アクションは文句なしですし、私的には訴求していたモノは十分得られたかと。
このシリーズは続刊も追っていこう。うん。