『連射王』上下

連射王〈上〉

連射王〈上〉

連射王〈下〉

連射王〈下〉

  評価  :B
  満足度:A-
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 川上稔は戯れの出来ぬ男よ。


 ……いや、私も、こんなベタな叫びを上げるつもりは毛頭無かったんですけどね。


 でも、その、この内容は、ど直撃。


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 「ゲームなんかにマジになってどうするの?」という問いかけは“かつてのボクら”だけでなく、今の時代のゲーマー達にもつきまとう難問で、この作品はそんな問いかけに対する川上稔流の解答であり、ゲームを知らない人達への“誘い”でもあるのですが……。あー、どうしたものか、私は読んでいて川上稔氏に「問いかけられている」気がしてならなかったのですよ。“かつて”のではなく“今の”ゲーマーとしての自分に対して「アナタはゲームが好きですか?」と。気軽だけど本気の問い。その問いかけに対して肯定の言葉を返すのは、多分簡単なことの筈なのですが、困ったことにこの本を読んで思い出してしまったのですよ。“かつての”自分というか、まあ、遊びだと思っていた事柄にほんの僅かだけ本気が混じっている事に気がついた時の“驚愕”とか、99%の遊びと1%の本気、その1%に全身全霊をかけていたという事とか、ゲーマーとしてのルーツみたいなもの諸々を。 あー、まいった、本当にまいった。そんなの思い出したら、気軽に返答出来ないでしょう? 確かめないといけなくなるでしょう? “かつての自分”に対して挑まなければならなくなっちゃうでしょう? というか、STG熱が再燃しちゃったでしょう! うわぁ、どうしよう! “かつての自分”に負けたくないとか思ってるへタレゲーマーの自分がいるよ! どうする! どうするよ! つーか、恥ずかしいヤツだなぁ、私は!


 兎角、「ゲームの王道はRPGにあり、ゲームの本質はシューティングゲームにある」という言葉は真理ですわね。少なくとも私にとっては。


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 本編もですが、あとがきの経験談身に覚えあり過ぎ。「友人側のボンバーボタンをバレずに押す」*1とか「雷電1の2ボスの交叉弾がえらく苦手なのにそれ超えると六面くらいまで余裕」とか「最終面まで行けていたのに、夏休み開けたらそれが消えていた」とか、アナタは私ですかっ。BGMもゲーマデリックの“アノ曲”だったし、というか読んでる時の脳内BGMがそれだったよ!


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 物語としてもスタンダードな青春モノとして面白かったし。うん、満足。文庫の方も期待しておりますですよ。


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 さて、コイン一枚で気軽に真剣勝負をはじめますか。


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*1:私は相手が1P側の時にしか出来ませんでしたけども。2P側の成功率は半々程度。