『リヴァースキス』

評価  :C+
満足度:C+


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 I wanna be loved by you. おおう、なんてこったい。 この物語で展開されるTS系不条理方程式には<解答>を導き出すための主人公/末村善のヒロイン/恋の相手役が不在ではないですかっ。 たぶん作者も解ってて(アマノジャクな!)こおいう一手足りないシチュエーションに仕立て上げた(ラストが<ソレ>に帰結してますしね)のでしょうけど、んー、どうもスッキリしませんでしたわねえ。


 伏線の張り方は良かったですし、ややマニアックな映画ネタを含めた軽妙なボケとツッコミの騒動劇自体も面白かったのだけれども、<恋を知らない>がゆえとはいえやっぱり善のデリカシーに欠ける言動の数々はちと鼻につきましたですよ。 
 つーか、『Coffee Cantata』の一節を口に出来るくらいの小粋さがあるのなら色恋の一つでも嗜んどこうよっ。 「天国のお母様」も年頃になっても浮いた話がひとつも出ない息子の将来を心配していたに違いありません。 一ヶ月前から。 (うるせえ、大きなお世話だっ)  I wanna be loved by you…?


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 どうでもいいけど、読んでる時の脳内キャラボイスが「善/モノローグ@杉田智和」、「善(女)/台詞@平野綾」、「トモヨシ@小野大輔」というのはいくらなんでも単純過ぎやしないかい私?


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■書籍データ
リヴァースキス (電撃文庫)