『ジャバウォッキー 4』

久正人『ジャバウォッキー 4』 評価:C+ + /満足度:B-
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 奇想天外無節操コラージュコミックも第四巻。


 基本背景は <マイク・ミニョーラ> で 『さらば、愛しき鉤爪』 で リーグ・オブ・レジェンド*1 なのですけど、虚構と史実のクロスオーバー加減というか、ネタの出し方がちょっとズルいくらい面白カッコイイのですよねえ。


 つか、ほんとストーリーテイリングが巧くなりましたわねこの方。 1巻では設定とビジュアルが先走りすぎててグラフィックノベルを無理矢理マンガナイズさせたようなぎこちなさがありましたけど、作者がこなれてきた2巻後半辺りから、絵と物語がガッチリ噛み合わさって極上のエンターテイメント作品に仕上がってきたのですよね。 (しかも、3巻では <捻りを加える> というスキルも繰り出してきましたし) 


 んで、今回の収録エピソードもシニカルにコミカルにスタイリッシュに捻くれたステキネタ満載。
 #「ONE FOR THE ROAD」 では切り裂きジャック事件をベースにまじめな恐竜考察ミステリを展開。 それにリリーと英国情報部007<クリミアの天使>との過去の確執/ドラマを絡めていく手腕に感心しつつ、随所に散りばめられた小ネタ(おお、ついに<世界的頭脳>の人が!)や演出にニヤニヤ。
 #「MATCH/POMP」 も冒頭から(ストーリーと関係あるとは思えない)スタイリッシュアクションでボンクラども(たとえば私)のハートをがっつり掴んでいく久正人流ジョークに苦笑い。 ってか、ジュール・ヴェルヌの「大砲クラブ」かと思ったら、(たぶん)ジェラルド・ブルの「スーパーガン」+「パリ砲」ですかよ! 


 それにしてもこの漫画、ノリノリである 私の在住地域の書店ではどこも入荷数1〜2冊程度なうえ売れても補充無しという状態なのですけど、そんなに出荷数が少ない/売れてないのですかね? そりゃ、万人受けする絵柄ではないですし、本誌掲載からweb配信になったりもしてるのでマイナー感は否めないですけど……んー、なんか不遇ですわっ。 こんなに面白いのに!


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 あと、内容とは関係ないけど桂明日香版リリーにグッときた人は週刊アスキー連載中の 『ハニカム』 も読むといいのです。 そして遅々として進まぬ恋愛模様に身悶えしくさりやがれ! 私はしくさってる! 


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ジャバウォッキー(4) (マガジンZKC)ヘルボーイ:妖蛆召喚 (JIVE AMERICAN COMICSシリーズ)さらば、愛しき鉤爪 (ヴィレッジブックス)リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン (Vol.1) (JIVE AMERICAN COMICSシリーズ)

*1:正確には『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』