『クローバーフィールド/HAKAISHA』

評価:C+ + /満足度:C+ +
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 シークレット予告公開時から興味はあったものの、手ブレ映像/演出が酷い映画という声もチラホラ聴いて観ようかどうか迷っておりましたが、そろそろネタバレ回避巡回するのにも限界を感じてきていたので、酔い止めドーピング&決死の覚悟で特攻。 うん、シアター入り口にエチケット袋が用意されてたのにちょっとたじろいだけどボク最後まで吐かずにがんばったよ。 上映40分くらいで変な汗出てきたけど耐え抜いてみせたよ。 


 内容の方はたぶん方々で語られているんだろうけど、ゴジラ版ブレアウィッチ・プロジェクトとでもいうべき擬似記録映像作品。


 怪獣パニック映画(それも初期の頃)を客観ではなく主観で撮るという試みが面白く。 俯瞰的な映像だとある種の爽快感とともに眺められる怪獣の破壊っぷりも、その破壊の足下にいる一人の人間の視点からしてみれば、まさにクリティカルな出来事のオンパレード。 空から自由の女神の頭が飛んでくるわ瓦礫の雨が降ってくるわ粉塵でまともに前も見えなくなるわ、つうかあの巨大モンスターの造形はヤベエ。 ゴジラがどちらかとういう 「困ったチャンだけど憎みきれないガキ大将」タイプ だとすると、 この映画の巨大怪獣は 「刃物を持ったキチガイ」タイプ。 まさに交渉不能理解不能な災厄の根源的存在で愛嬌の欠片もみあたらねぇんデスヨ。 (って、今気が付いたけど丁度「ゴジラの特徴を反対にする」とああなるんだ!長い腕とか短い足とか!) 対物質な破壊光線を出さない代わりに、対人特化の小型モンスターをばら撒くあたりは西洋的プレデター文化の特徴かな。
 ま、そこいら変の深読み(現実のテロ事件とも重ねられますし)はひとまず置いとくとして、パニック系映像アトラクションとしては素直に楽しい映画でした。


 でも、ストーリー的なものを期待すると肩透かしを喰らっちゃうかな。 エンドロール(BGMは必聴!)がはじまったときに後ろで観賞していたらしい品の良いおばあさんに 「この映画これで終りなんでしょうかねえ?」 と訊ねられてしまいましたし。
 ちなみに 「ええ、エンドロール後にサービスカットがあるかもしれませんが本編はこれで終りだと思います」 と答えた所 「怪物の始末もつけなかったし、なんだかものたりない終わりですねえ」 との感想を漏らされてました。 うん、その意見にはボクも同意します。 ってか、私は必死で手ブレ映像に耐えてたというのに、随分と平気な顔(?)されてましたね見知らぬおばあさん……うわー、ちょっとショックー。