『聖☆おにいさん 1』

中村光聖☆おにいさん 1』 評価:C++ /満足度:C++
 <聖(セイント)> ときて <おにいさん>。 いいですねえ、このタイトル。 本来なら 無条件に敬うべき と無宗教の人間にも刷り込まれてしまっている (本能的に? 理知的に? 日本人的なんとなく感?) そんな、はるか遠くにありがたがらねばならない存在を、そこいらのご近所感覚に昇華させるこの響き。 そういや、昔住んでいた家の近所にも 平日の昼間っからよれよれTシャツに洗い晒しのジーンズ&つっかけという出で立ちでフラフラほっつき歩いて何やって食ってるのかわからないおにいさん がいましたわねえ。 小学生に 「にーちゃんキャッチボールやろうぜ!」 とか言われちゃうタイプの。 アノ人も案外<聖☆>系だったのかしら? んなわけねえか。
 

 それは兎も角内容の方は、聖人コンビのストレンジな庶民生活をおそろしくマイルドなコントに仕立て上げた良質なコメディ。 中村光さんの漫画は『中村工房』にしろ『荒川アンダーザブリッジ』にしろタイプは違えど一貫して <お笑い> という概念に対する敬愛を感じられるのですけれど、この作品は特にその傾向が強いですわね。 つか、考えてみれば <お笑い> っていうのは言い換えれば <サービス精神> なワケでそういう意味ではこの二人のキャラクターは巧いチョイスですわ。 私が『エンタの神様』に求めていたのもこういう笑いなんですけどねえ。 最近じゃ流行らないのかしらん? ともあれ、次巻の発売もたのしみにしてますですよ、って12月ですかよ!


 むー、私みたいな頭にパのつく甘味業に従事している人種はクリスマスが近づくにつれベツヘレムの馬小屋にターミネーター100体送り込みたい衝動に駆られるのですが、まあ、この漫画の2巻が発売される今年くらいは我慢してやらんでもない気持もなきにしにもあらずなのです。 ハーレールーヤー。


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聖☆おにいさん(1) (モーニング KC)