感想メモ『タイム・アフター・タイム』『THX-1138 ディレクターズカット』

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タイム・アフター・タイム(DVD観賞)
 H・G・ウェルズくんのサンフランシスコロマンス小旅行。 バカ正直で要領の悪い主人公にハラハラドキドキしっぱなし!(はじめてのお使いに出かける子供を遠くから見守る親の心境的意味で)
 ウェルズVS切り裂きジャックという予備情報に理性と暴力のぶつかり合い的なサスペンスアドベンチャーを期待していたので、正直、間の抜けた構成と演出にちょっとガッカリ風味。 でも、気を取り直してみてみれば随所に盛り込まれたウェルズネタや風刺ネタはなかなかに楽しく、後に続く作品の元ネタになったであろうシーン(フラスコの時計台のカットや自分と関係のない著名人の名を名乗るウェルズなど)を発見したりと意外な収穫を得ることが出来たので結果オーライなのです。
 『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』でドクの相手役にメアリー・スティーンバージェンが起用された時にはさぞかし <センパイ方> は盛り上がったんだろうなー、と思うとリアルタイムでそれに参加できなかった自分がちょっと悔しく。 (そうかドクとクララがタイムマシンの生みの親H・G・ウェルズを差し置いてジュール・ヴェルヌを熱く語っていたシーンて、実はすごいリスペクト/パロディだったのか)


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THX-1138 ディレクターズカット』(DVD観賞)
 正統派ディストピア。 全編に漂う息苦しさと、破滅と希望とが混在した一種不条理な叙情感が素晴らしく。
 71年製の作品にもかかわらず、現在のCG技術に慣れ親しんだ人にも十分視聴に耐えうる映像世界を創り上げたジョージ・ルーカスは(フランシス・フォード・コッポラという強力なパトロン/庇護があったとしても)ハンパないですわ。(あ、この頃のコッポラってそれほどビックネームでもなかったんだ!)*1
 映画というより舞台劇的なフレームの使い方が特に印象的。 そういえばこの映画で見られるような <世界の輪郭> をあやふやにする <白い空間上の演技/演出> はラーメンズも 『いつかのはなし』 で使っていましたわね。 (つか、元を辿ればどっちもサミュエル・ベケットをリスペクトしてるんだろうけどね)


 あと、製作工程のちょっとしたミス68人ほど爆殺されるようなロボット警官(動力は原子炉)を案山子同然に扱っているのは笑うべきところなのかどうか悩むところ。 いや、大笑したんだけど。 踏みつけるなよそんな物騒なモノ!
 ルーカス監督が狙ってこーいうシーンを入れてるっぽいのが始末におえない。


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