感想メモ『スカイ・クロラ』『ウォンテッド』『ダークナイト』

 アレとかアノ映画はどうだったのよ? という言葉を頂いたので、今更ながらに書いてみるのです。
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スカイ・クロラ
 いくらでもエンターテイメントとして面白く出来る素材と設定を<そのまま>使わずに、あえて己の感性/主張フィルターにかけてしまうのが押井守監督であり。 それ故に<押井守>たり得る訳ですが、それが必ずしも「作品の成功」へと直結するとは限らないわけで。 この変はほんとジレンマですのう。
 ま、レシプロ戦闘機が飛び回っている映像と、描き起こされる静かな情景が観れただけで僕としてはオーケーですが。 
 観客にカップルと女性の姿が多く観られたのは脚本家がセカチューの人だからでせうか?


 ちなみに、同じ様にレシプロ戦闘機を題材にした映画ならあえて 『フライボーイズ』 の方をプッシュしときます。 (孤高の守護翼隊長キャシディVS宿敵“黒い鷹”戦は舞台が整うまでの戦闘シークエンスも含めて素晴らしかった。 複葉機飛ばしてるだけなのに画面を通して伝わる「さあ決着をつけようか」感がハンパじゃないのですよ!)
 

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『ウォンテッド』
 『アイアンマン』が <オトコノコの夢> だとしたら此方は <ボンクラの夢>。 「生き方を選ぶのではない。生き方を決めるのだ」みたいな事を語られたような気もしましたが、スーパーパワーを身に着けても状況に流されまくりな情けなーい主人公に言われても説得力ないよね! とりあえず、ガン=カタver.3が観れただけで満足。


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ダークナイト
 開いてしまった<パンドラの箱>に残った希望を守るために。 「希望になる」のではなく「希望を守る」。 悪徳の闇を制する為にそれよりも深い闇へ。 それゆえの<騎士>、それゆえの<暗黒>。 

◇以下ネタばれ

 しかして、市民の良心と誇りの支えとなる希望が、ブルース・ウェインバットマンたらしめる強さを支える愛という希望が、そのどちらもが偽りであるというのが堪らんですわね。
 どちらの真相を(おそらく劇中でただ一人)知って尚、己が在り方を貫くアルフレッドはマジTOUGHGUY。 つか、劇中でウェインが 「君が黒幕だというつもりだよ?」 なんて冗談交じりに言ってましたけど、あながち冗談でもないかと。(まあ、観客のポジションに一番近い/代弁者的キャラクターでもありますしね)


 マスターピースな作品なのは間違いないのですけど、少々重過ぎる<複数のテーマ>を容赦なく間断なく突きつけまくる展開と演出にはちと疲れましたですよ。 正直、「詰め込みすぎじゃね?」 という気持ちも無きにしも非ず。
 ボクとしては気楽に楽しめるティム・バートン版の方が好みなのですじゃよ。 フリークス・ラヴ。


 あと、先行上映初日に観に行ったのですが、誇張抜きで観客の半数近くが英語圏の方々という異様な状況で観賞となりました。 ほんとバットマン好きなんだなキミら!
 でも、その分ボクもいつもより肩肘張らず伸び々々と楽しめたけどね! やー、向こうの方々は程々に騒いで場を盛り上げてくれますねぇ。 いい意味で。