米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』
米澤穂信さん久々の新刊は「最後の一撃(フィニッシングストローク)」にこだわった連作短編集。
落ち着いた文章の運びながら一編毎に違う装いで纏め上げられた五つの物語のラストはなるほど、なかなかの攻撃力。 ミステリ読みな人ほどドツボに嵌められそうな文脈&狂気と紙一重の××ユーモアが印象的な『山荘秘聞』 、とある個人的トラウマを思い出させながらも*1凄みと美しさが並立したラスト一行に惹き込ませられた『玉野五十鈴の誉れ』 が特に気に入ったかな。
ああそうだ。 あと、「ラスト一行の衝撃に徹底的にこだわった」という売り文句にウソ偽りがない事を、目を通してきた読者に充分理解させているその上で短編集の中の最後の一編で登場人物(しかもいたいけでイジマシイ女の子!)に
「わたし、料理は好きですが、厨娘*2にはなりたくありません」 (P.249)
なんて台詞*3を必然性とともにサラリ言わせてしまうあたり、ちょっぴりこすからさを感じたように思います。 「なりたくない」というその理由/心境は至極まっとうだけれど、それはこの本そのものに対してのギデオン・フェルになりかねないのです。 いや、ニヤリとしましたが(アナタの読み筋が捩れているだけです)。
しかし、プロフェッショナルな方々が登場するお話ばかりでしたなぁ。 機会があればまた「バベルの会」を巡るエピソードを書いていただきたいところ。
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- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/11
- メディア: 単行本
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