かきふらい『けいおん!』1、2巻

 1巻発売時「女の子+レスポール」というバンドスキーな当方には堪らないジャケ絵に釣られて購入しそうになったものの、きらら系特有の「ゆるさ」を売りにした帯のキャッチコピーを目視してそのままスルーを決め込んでいたのですが、アニメ化されてたいそう評判になっている様なので思い切って購入してみたのです。 私にだって……流行りモノに手を出したくなるときくらい…ある…。


 んで、さっくり読んでみたのですが、タイトルどおり「軽音楽部」を舞台にはしているものの内容的には音楽的要素は作品の軽いエッセンス程度で、基本は女の子たちのゆるゆる〜とした日常の織り成すドタバタお茶会劇をモノ語ることに終始されているという辺り、実にステレオタイプなきらら系4コマ漫画という印象ですわね。
 掲載誌のメインストリームに沿った手堅い作風で、読みはじめの頃は特にコレといった魅力を感じなかったキャラクター達にも、2巻に着手する頃にはそれなりに思い入れというか愛着を持てるようになるのが好感触かな。 色素薄そうなお嬢様の紬さんとか沢庵眉毛の紬さんとか笑顔が逆に怖い紬さんとか顔色悪くなるまで両手を冷やす紬さんとか乙女妄想回路をフル稼働させている紬さんとか大好きです。 だから出番をもう少し増やしてあげて下さい……ッッ!!(←2巻での影の薄さに泣いた人)


 ……とまあ、キャラクター漫画としてはソコソコ楽しめるのですが、「ガールズバンド」という幾らでも面白味を出せる素材/設定がほとんど生かされていないのは、やはり残念というか勿体無い。 バンド(ウー)マンと一般人との感覚のズレや、音楽の事を何も知らない人間が徐々にマニアックに染められていく過程など特定の題材をネタにした漫画だからこそ表現できる「おかしみ」というのもあると思うのですけども。 なんで没個性的方向に作品を仕上げちゃったんだろう?
 つか、基本「廃部の危機」、「合宿」、「テスト」、「文化祭」の4パターンしかプロットがないというのは話の引き出しが少なすぎるでしょう作者さん。 まさかたった2巻で第二学年のほぼ終りまで時間が進むとは思わなんだですわ。
 軽音楽部物ならプロットとして「ライブハウスに行く」だとか「目標となるアーティストに出会う」だとか「福祉ボランティアの演奏会に参加する」だとか「体育祭のレクリエーションプログラムで演奏する」だとか「勢いで作ったサイトにアップするPVを撮影する」だとか程度は世界観的な流れの中でフツーに描かれる話ではないのかしらん? それとも編集部の方針? 


 ともあれ高校生時代に軽音同好会でドラムを叩いていた身としては、もうちょっと「バンド活動」という部分に厚味を持たせて頂きたいところなのですよ。 この手のタイプはそうした方が絶対面白くなる、という気がするのですが。 (気がするだけかよ)
 (※以前から日記をご覧になっている方には「あれ? 柔道部に所属していながら軽音同好会も?」と思われる方もいるでしょうが、「同好会」活動についての規制はワリと緩い高校だったのです。 自主自立がモットーの学校でしたしね。)


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