平野耕太『以下略』

 オタクな登場人物達のボンクラな日常を赤裸々に綴ったダイアログ漫画。
 基本、ダメ人間賛歌ではあるのだけれど「安物の薬をキメてアッパラパーになった頭でバイオハザードをプレイした所為で周りの人間がゾンビに見える様になっちゃったZE!」みたいなネタがない分、健全な内容ではないかなと思います。 (そこで『SPACED』と比べるのはどうなのよ?) それにこのくらいの会話は普通にしますし。
 そう、オタクならば普通に『逆襲のシャア』→小説版『逆襲のシャア』→『閃光のハサウェイ』というコンボを決めてハサウェイのトミノ小説キャラらしからぬ童貞スピリッツ全開の生き様に涙を流すものですし。 『苺ましまろ』を手に「ちーちゃん萌え」とか言って無邪気にロリコンライフを謳歌している少年を見かければ肩をポンと叩き悪魔のような微笑と共にそっと『BIOSHOCK』を差し出してあげたくなるものですし。 ラーメンズ目当てにピタゴラスイッチを視聴しはじめたらあまりの面白さ心打たれて仕事の休憩時間中におもわずティッシュの空き箱とストローでお父さんスイッチを制作してしまうものなのですよ。 ……ですよね?
 つか、カバー裏も含めて投げ込まれるネタの数々がひとつ残らず捕れちゃったのですけど、この捕えたネタは何処に投げ返せばいいのですかーー!? 


 あと、P.107右下のコマのヤツはぶっ殺してぇ。 具体的に言うと隠し部屋に監禁しスパムを紅茶で流しこませた後、簀巻き状態で『アット・ラスト・ザ・1948・ショウ』&『ドゥ・ノット・アジャスト・ユア・セット』→『空飛ぶモンティ・パイソン』4シリーズ全45話字幕&日本語吹き替え→『ライフ・オブ・ブライアン』→『人生狂想曲』と強制鑑賞させたのちトドメに『ホーリー・グレイル』を見せてモヤモヤした気分にした状態のままイギリス海峡に沈めてやりてぇ。


 と、中の人が申しておりました。


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 FPSはあんま売れねぇな。 なんでだ。 日本だけじゃね?

 
 パソコンを土壌に発展してきたFPSも、XBOX360PS3の登場で、プレイ人口は以前よりもずっと増えてきていると思うのですが、やはりマイナー感は否めないですわね。
 多分、スクエニナムコカプコンといった大手メーカーが海外FPSに比肩し得る完成度の純国産FPS(※実力派美少女絵師起用)を製作でもしない限り、日本のゲーマーには市場的に定着しないのではないでしょうか。 つまり、輸入品/ローカライズに頼っているウチは無理。 というか、何処かに『GUN-KATANA』のコンセプト受け継ぐ気概のあるメーカーはいないのかっ。 (ヱロゲーじゃねぇか)
 いや、真面目な話し「キャラクター性とストーリー性を兼ね備えた美少女ゲーム+FPS」というのは悪くない手だったと思うのですよ。 後は全体的な完成度を高めていけば……ッ!

 
 それとFPSが日本人に受けない理由というのは、日本では『Oblivion』や『Fallout3』といった「世界を楽しむ」オープンワールドRPGよりも、『ファイナルファンタジー』シリーズや『テイルズ』シリーズのような「キャラクターや物語を楽しむ」シナリオ重視型RPGの方が好まれるのと「根本的には」同じ理由のような気がします。
 アニメや漫画、映画といった客観的視点で作品を楽しむメディアのスタイルを、プレイヤーだけではなく開発スタッフすらもそのままゲームにコンバートさせてしまっているといいますか。 媒体が変わっただけで心底にある楽しみ方自体は何ひとつ変わってねぇといいますか。 視覚的に情報制限があって常に一定の緊張感を伴う一人称視点/主人公でいるより、視覚情報が豊富で状況の把握も容易な三人称視点/観客気分で気軽に楽しみたいのでしょうね。 作品との戯れ方もわかりやすいですし。
 

 ちなみに私は三人称視点が可能な作品でも、一人称視点メインでプレイするタイプです。 どうせなら作品世界の住人としてゲームを楽しみたいのですじゃよ。 『Oblivion』プレイ中、視界の利かない夜の森で不意にスナイパーに狙われた時、僅かな風切り音と一瞬だけ目に映った矢の残影を頼りに位置を割り出し、カウンター気味に放ったファイアボルトで敵を火だるまにした時のスリリングさと危機を切り抜けた安堵感は三人称視点じゃあ味わえねェ類のモノですぜ?

 
 そういや、バーチャロンもなんでコックピットビューがないんじゃろう? や、あったら絶対3D酔いすると思いますけど、それでも主観でロボット兵器(※ヴァーチャルワールドなのは解ってますよ?)を操縦するのって不変のロマンじゃありませんですこと?

 
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 以下略SPACED ~俺たちルームシェアリング~ DVD-BOX

 『Shaun of the Dead』や『HOT FUZZ』のサイモン・ペッグエドガー・ライトのコンビによるテレビドラマ『SPACED』は海外版『以下略』だと思っていただければよいかと。 
 XBOX360のCMの元ネタにもなったエア銃撃戦は有名なんじゃないかな?


◇Spaced Gun Fight